家と草木のアトリエhausgras

「 十勝 幕別町の瀬上製材所 」にて

十勝のカラマツ  瀬上製材所を訪れて

カラマツの産地である十勝の家は、出来る限り十勝産のカラマツを使って建てたいと思い、
十勝産カラマツ材の現状を知るべく、幕別町にある「瀬上製材所」を訪問視察しました。

十勝といえば、澄んだ青い空の下にどこまでも広がる牧草地と畑、その中に染み込むように連なるカラマツやシラカバ、カシワの防風林とが織りなす風景が思い浮かびます。
こんなに十勝の風景として馴染んでいるカラマツですが、元々、北海道には生えていなかった樹です。

北海道のカラマツは信州 長野のカラマツの苗や種がルーツ。
カラマツは北海道の気候にもよく耐え、生長が早く真っ直ぐ伸びるので、新しい防風林をつくるための樹として都合がよかったようです。
また、カラマツは木材として強度があり腐りにくいので、特に戦後(65年程前)から、炭坑の坑木や鉄道の枕木、木電柱などに使われる目的で北海道各地にたくさん植えられました。
今はそれら当初の需要が無くなり、代わりに多くは梱包木材・木製パレット(運搬用荷台)として使われています。

カラマツは、乾燥するとねじれて割れやすい、松ヤニが多くて出やすいなどの欠点があるので、長い間、家づくりの木材として敬遠されてきましたが、カラマツ丸太を板状に割った後、柱材梁材や板材として積層成形した「カラマツ集成材」や、「カラマツ合板」などの安定した加工材として生産されるようになったり、無垢材として使ってもクセが抑えられるよう、カラマツの性質に合わせた人工乾燥方法が実践され始めるなど、北海道の家づくりの木材として見直されています。

hausgrasでは、カラマツの産地である十勝の家は、出来る限り十勝産のカラマツを使って建てたいと思っており、十勝産カラマツ材の現状を知るべく、幕別町にある「瀬上製材所」を訪問視察しました。

瀬上製材所では年間6万5000立方メートルの木材を加工しているそうで、日本国内でも有数の規模。
もし仮にここで製材加工される全てのカラマツが家づくりに利用されるとしたならば、延べ床面積40坪くらいの木造2階建ての住宅で、約30立方メートルの木材を使いますから、5000/30=2166.6 2166棟分 ということになります。

敷地内はカラマツ丸太の山でいっぱい。しかし、これらは直径30センチ以下の中小径丸太。
梱包木材や木製パレット用の部材として、短い板状に加工されます。

この立派なカラマツ丸太が、こんなに小さい板に。厚さ2センチ幅12センチ程の梱包木材。

直径が30センチを超えるカラマツ丸太で素性のよいものは特に選別。
別の製材所で建築用の柱や梁、幅広の厚板として製材された後、瀬上製材所に戻され、屋根のある場所で自然乾燥させるために数年間積み置かれます。

右上に積まれているのは、芯去りで105ミリ角(3寸5分角)断面の柱。
芯を外してこの大きさの柱を取るには、カラマツ丸太は直径40センチを超えて太さが必要です。
その下に積まれているのは、芯持ちで120ミリ×240ミリ断面の梁。
梁セ 300ミリのものまでは、カラマツ無垢材でストックしてあるとのこと。それ以上のものも時期によっては入手、製材可能だそうです。
左に桟積みされているのは、厚さ30ミリ幅150ミリ、長さ3.64メートルで仕上げられるように木取りされた厚板。
この厚板は、床板やドア枠など仕上げ材として使われます。

建築用カラマツ材の積まれているすぐ脇に、木材スチーム乾燥機(人工乾燥機)があります。

カラマツは、建築構造材として使うために必須とされている含水率18%以下まで通常の人工乾燥させると、ひどくネジレたり割れたりしてまうので、そこから成形加工するのが困難になってしまいます。
そこで瀬上さんは林産試験場などの外部研究機関と協力して、カラマツのネジレや割れを抑えつつ人工乾燥させる、カラマツの性質に合わせた乾燥手法(乾燥スケジュール)を考案し実践しているそうです。
こんな努力の結果、カラマツ無垢材をある程度は供給できるようになったとのこと。

しかし実は、北海道の冬期間の室内は過度に乾燥していて、木材の含水率18%程度では、家の完成後のネジレや割れは抑えきれません。
それはカラマツだけではく、トドマツやスギを使った場合も同じです。
そういう現場からの不安を解消できるようにと、含水率10%以下の人工乾燥カラマツ材を目指して、さらに研究を進めているそうです。

人工乾燥の実験に使われるカラマツ角材サンプル。実験をする外部研究機関へ送られます。

力強い杢目と温かみのある赤味のカラマツ無垢板。

地域の気候に順応して生長したカラマツを、地域の家づくりに活かしたいと思うのは自然な感情です。
多少クセが強いカラマツですが、それを克服して生産供給しようとする方々がいて、事情を理解して敢えて家づくりに使いたいという建主さんがいる。
こんな関係が、地域の豊かな暮らしの根源のひとつなのではないかと思うのです。

瀬上製材所のカラマツ材で建てた家の柱と梁。カラマツ集成材。

カラマツ無垢の厚板の床と階段。オイルステイン オスモのクリヤーを塗っています。

十勝に建てたこの家の大黒柱と四方差しの梁は、十勝カラマツの無垢材を使いました。濃茶色のオイルステイン塗装。

カラマツの製材引き放しの板を張った外物置のドア。カラマツの赤みのある杢目がよい具合に助けています。

hausgrasでは、十勝のカラマツも積極的に家づくりの木材として使っていきます。

「 トドマツとカラマツ 」関連ページ