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トドマツの原木丸太をチェーンソーで切る

下川町の原木丸太の切り出し現場にて

下川町の木材循環1
下川町の山の造林育林の現場へ

北海道上川郡「下川町」は全面積が64,420ha(ヘクタール)で、そのうち約90%の面積を森林が占めるまさに森林の町。
(札幌市の全面積の約半分=下川町の森林面積)このうち町有林経営面積の4,205haを、毎年50haの植樹造林して60年後に伐倒する、
つまり、50ha × 60ヶ所 = 3,000haで1つのサイクルとなる営みを延々と続けていく「循環型森林経営」を掲げている町です。

下川町を視察に訪れた5月中旬、下川町を流れるサンル川の上流にあるサンル地区というエリア。
植林されてから20年経ったカラマツとトドマツ、それから自然に生長したシラカバが除間伐の現場にて。
5月も半ばだというのに、時折、雪のちらつく寒い日でした。

サンル川上流の間伐除伐の現場

林道の脇には除伐・間伐されたカラマツとトドマツの丸太が積み上げられていました。
長い丸太をつかんで並べているは、丸太の枝払いと玉切り(長さ切り)も出来る「プロセッサ」という林業用重機。
北海道の林業も北欧・北米・オーストラリアに倣って林業の機械化が進んでいます。

海外の安い木材が大量に日本に入ってきている現状では、高い日本の木材はなかなか売れません。
このままでは日本の林業と森林は増々荒廃してしまいますから、国内の林業・製材業を合理化して、木材生産のコストを下げる努力をする必要があるのです。

伐採したトドマツ原木丸太を仕分けるプロセッサ

伐採したトドマツ原木丸太を仕分けるプロセッサ。
森の中で伐り倒された長い丸太は林道脇に設けられた土場(広場)に集められた後、
重機と人とが分業して、樹種や分けと等級に付け、12尺(2間・約3.6メートル)の長さに切り揃えられていきます。

この現場では若い方々も幾人か作業されていました。
下川町には、Uターンで戻った人ばかりではなく、下川町の林業に対する取り組みに共感してIターンする若い人も少なくないそうです。

伐採したトドマツ原木丸太をチェーンソーで切りそろえる人

機械化が進んでいるといえ、やはり人の力も大いに必要な林業。
下川町の循環型森林経営は、この地域の林業が将来も続いていくことを明示し、
林業に従事する方々に大きな安心感と遣り甲斐をもたらしているようです。

こんな風景を見ていると、商社が営利目的で輸入する安い外国産木材を使うよりも、
より身近な地域の人たちの暮らしや仕事に繋がるような選択をしたいと強く思います。

トドマツの樹皮

トドマツの原木丸太の樹皮。白い皮に苔が多く生えています。水分養分が多いようです。

直径の数字が書かれたトドマツの原木丸太の木口

この白っぽい木口(切り口)の丸太もトドマツ。
丸太の直径でそれぞれ「20〜28」まで番付けされ、良材として建築用の間柱、貫、板などに加工されます。

一方、この赤味を帯びた木口の丸太はカラマツ。
直径が細すぎたり、曲がっていたり、中が腐っている丸太はウッドチップ用材としてひとまとめに。

カラマツの原木丸太の木口
除間伐される前の藪のような林

未だ除間伐が為されていないカラマツの植林地は薮のよう。

ひとたび除間伐されると植林地は見違えます。

除間伐された後の林 植林地

そして40〜50年経った植林地は、森然とした雰囲気を醸し出すようになります。

トドマツの林

除間伐の現場、サンル地区から場所を移して、トドマツの試験林を見に行きました。

下川町 トドマツ人工林 植栽密度試験林1

渓和地区のトドマツ人工林で、植樹密度の試験をしている場所。1960年に植樹とありますから、樹齢は50年を超えています。

間伐されていないので、一本一本が細いまま高く育ったトドマツの林。

下川町 トドマツ人工林 植栽密度試験林2

下川町では60年を1サイクルとして木材循環させる仕組みづくりを推進しています。
木材の生産に関わるいろんな実験をして、この地域に合ったやり方を模索しているようです。

木は植樹して木材として利用できるまでに数十年の長い年月がかかります。
近年はその間に木材の利用のされ方もいろいろ変わってしまって、日本の林業は翻弄され、衰退してしまったかに見えます。

でも人の生活にとって、樹と木材の魅力や必要性は以前にも増してあるのではないでしょうか。

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