
大工さんによる墨付けと手刻みを見させてもらいました。浦河の家です。
32本の道南スギの登り梁と、14メートルの棟梁と敷桁の墨付けをする棟梁。
斜めに組まれる仕口は、プレカットで対応していないことが多く、熟練大工さんの墨付けと手刻みになることが多いです。
一本一本の杉の状態を確認しながら、そのクセに合わせてなされる墨付け。その道具の墨壺と竹の墨差し、さし矩(さしがね)。
この伝統的な手法、考え方による木の取り扱いは、日本中どこの地域の大工さんも共有している素晴らしい知恵です。


緊張感が漂う、手刻み作業。
杉やヒノキなどの比較的柔らかい木の加工に適した日本の伝統的な大工道具、ノミやカンナや鋸を使って、「墨残し」で手際よく刻んでいきます。


建方(たてかた)が始まり、構造木材が現場に運び込まれた後も大工さんの加工はあります。
プレカット加工できない斜めのホゾ穴あけ、土台伏せする際の基礎アンカーボルトの穴あけなど。


敷かれた土台の上に立てられた1階の管柱(くだばしら)。
杉の柱が立ち梁が架け始められると、杉特有のよい香りが増していきます。そして、この温かみのある杉の色。
外周部に掛けられる胴差し梁。その上下に差し込まれる柱が多いので、組み立ては大変です。


掛け並べられた2階床梁。梁背は9寸(27センチ)です。
無垢材には集成材には無い、杢目と木地の自然な成り立ちそのままの存在感があります。


大きな断面の無垢材の杉 登り梁を慎重に納めていく。自らの墨付けと手刻みが確かだった手応え。大工さんたち皆、誇らしげに見えます。


登り梁は断面寸法が10.5センチ×30センチ(一尺背)。棟梁は断面寸法が10.5センチ×36センチ(尺二寸背)。大黒柱は15センチ角(五寸角)。
全て道南スギの無垢材です。大径木に育てられる杉だからできること。


杉の学名「Cryptomeria Japonica」(クリプトメリア ジャポニカ)は、「隠された日本の宝」という意味だそうです。
南は屋久島の縄文杉から、北は北海道の南部まで広く分布し、また古来たくさん植えられ使われ続けたきた杉。
どの樹よりも日本の気候に順応し、日本の生活文化建築文化の素材として適した木が「杉」なのです。


北海道では、杉はまだまだ馴染み深いとはいえませんが、今後、北海道の方々にも受け入れられていくことでしょう。
道南スギの家。hausgrasでは、構造木材としても杉を積極的に使っています。

北海道 道南地方産のスギ材を使った家の実例
「 雑木林によりそう家 」
「 清々しい中庭に集う家 」
「 羊蹄山を望む田園の家 」