ハルキの敷地内土場には、道南杉の原木が所狭しと積まれています。直径50〜60センチの丸太も少なくありません。
杉は江戸時代から渡島や檜山など道南の山々に植えられてきましたが、戦後(65年前)の拡大造林政策で一気に増え、
その結果、現在の道南の山々には40〜65年生の大きく育った道南杉がたくさん存在しているそうです。
原木丸太のほとんどは山中で12尺(2間 3.64メートル)の長さに切りそろえられて運ばれて来ます。
予め要望すれば、ある程度の長い杉丸太で製材することもできるそうですが、
長いものは扱いが特殊になるので、その分金額が高くなってしまいます。
この道南スギの丸太は長さ約6メートルもある。
どこかの工務店さんが特別発注したものです。
杉の樹皮(バーク)。製材する丸太の量が多いので、剥いた樹皮も大量です。
これは良質なバーク堆肥になります。
訪問した当時、ハルキの敷地内にはスチーム乾燥機が5機設置されていました。その後、数機増設したようです。
それぞれ2〜3立方メートルの木材が格納できる容量。
道南スギの柱や梁はおおよそ10〜14日間、このスチーム乾燥機による人工乾燥が為されます。
スチーム乾燥後の梁と柱。アクや割れ反りなどが出ています。
この時点では大きめの断面寸法で製材してあり、これから発注された寸法に再加工した後、プレカット加工されます。
時間と手間がかかる一連の作業ですが、あらかじめスチーム乾燥をしておくことで、
家を建て暮らし始めてからの柱や梁の動きを少なく抑えることができるのです。
柱や梁の他、家づくりで使われる間柱や胴縁、野地板などの下地材も全て道南杉でそろえられます。
こちらはプレカット工場。綺麗で整然としています。
継手仕口が従来どおりの在来工法加工、金物工法(カネシン プレセッター)の加工、どちらにも対応しているとのこと。
この工場で、年間500棟以上のプレカットをしているのだとか。
板モノを加工する工場では、厚さ38ミリ幅は18.5センチの道南杉板を加工していました。杉の2バイ8材です。
これはhausgrasの「道南スギの家」で、床板として採用したいと思います。
プレカットラインで働く若いスタッフたち。
成長を続けるハルキは、地元の方々のよき働き場でもあるのでしょう。
加工場内で出た加工クズ(おがくず)は、巨大な集塵機で一ヶ所に集められ、
バイオマスボイラーで焚かれて、工場内の熱源として再利用されていました。
実際に道南の山々で育っている杉や、製材プレカット工場、そこで働く人たちを観て、
道南スギの供給体制はかなり整っていると感じました。
北海道では、道南でしか造林されていない杉。それ故に札幌以北の方々には馴染み無いと思いますけれども、
他の針葉樹木材より腐りにくく白蟻にも強いなど、本州では古来、建築良材であると認知されています。
また、杉材の柔らかさと軽さは、手触り足触りのよさや温かさとして直に感じられます。
hausgrasでは、この道南スギも積極的に家づくりの素材として使っています。
北海道 道南地方産のスギ材を使った家の実例
「 雑木林によりそう家 」
「 清々しい中庭に集う家 」
「 羊蹄山を望む田園の家 」