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霧が立ち込める北海道 道南杉の山

「 道南 福島町の道南スギの山 」にて

道南スギの山
道南 福島町の杉の造林育林の現場にて

道南スギ(どうなんすぎ)は、津軽海峡に面した函館市、北斗市、木古内町、知内町、福島町、松前町に特に多く植えられています。
戦後の1950年代頃から新たに多くが植えられ、現在その蓄材量は900万立方メートルとも。
床面積40坪くらいの一戸建て木造住宅は、20~30立方メートルの木材を使いますから、実に30~45万棟分ということになります。
5月中旬に現地に赴き視察した、道南 福島町にある杉の植林された山の様子です。

霧が立ち込める北海道 道南の杉の山を見上げる

よい天気が多い5月ですが、道南スギの山を訪れた日はあいにく、霧が立ちこめる肌寒い曇天。
と思いきや、この辺りはよく霧に覆われる土地なのだとか。
福島町が接する南の津軽海峡に流れるのは、日本海の対馬暖流から続く津軽暖流。
この暖流から昇ってくる温かく湿った空気が、福島町一帯に広がっている緑深い山々に冷やされて霧となるのです。
こういう自然環境が、寒さの厳しい北海道内でも杉の植林を可能にする条件のひとつなのでしょう。

北海道 道南の杉の木立ち

内地(本州・四国・九州)の林業では昔から「尾根マツ、谷(沢)スギ、中ヒノキ」という言葉があります。
先駆種(パイオニア種)のマツは、尾根のような岩場で痩せていて風が強く乾燥した所にも適応して生育できる。
一方、スギは、山の谷筋沢筋などの湿潤な肥沃地がよいという、「適地適木」の理(ことわり)を示しています。
まさに道南スギはそんな場所で育っているのでした。


太い幹の道南の杉

まず立ち入ったのは、80年生の杉の林。昭和初期に植えられた杉です。
幹の直径は目の高さで70〜80センチで、両手を回しても抱えきれない程の太さに育っています。

太い道南の杉を抱える

切り株も間近で見ると、とても迫力がある。

70から80年生の道南杉の切り株 直径80センチ

次に最近、除間伐(間引き)されたばかりの40〜50年生の杉林へ。

霧が立ち込める北海道・道南の杉の林

杉は最初、かなり密に植えて生長させます。
すると、陽のあまり当たらない中間部から下の枝が自然に落ちて、枝打ちの手間が省けるのだそうです。
植林の歴史が何百年と続く杉の育林造林は、先人たちの経験と知恵が今も活かされているのです。

除間伐された杉の林を歩く

切り株幹の直径も40〜50センチくらい。年輪の数を数えてみると、確かに50ありました。
杉の特徴である芯部の淡赤色がよく見て取れます。
道南の杉は、秋田杉と同じように綺麗な赤身の色が多いようです。

赤と白がはっきりとした杉の年輪 直径40から50センチ

実は、今の林業にはジレンマがあります。
林業や製材は近年、輸入大型機械による合理化が進んでいるのですが、
それら高効率とされる機械が対応できるのは、ほとんどが原木丸太の直径60センチくらいまで。
直径60センチを超えてしまうと、人手など手間がより多くかかるようになります。
付加価値の高い大木に育て使いたくても、その分、時間とコストが余計にかかってしまう。
昔と比べると、木材価格と人件費が逆転してしまった今の時代は、日本の林業の考え方も変えざるを得ないのでしょうか。

木材を使う側としても、そういう現状を意識したうえで、どう関われるかを考えていかなければと改めて思わされました。

北海道 道南の杉林の林床 杉の落ち葉

杉の葉が厚く積もった林床。

「杉(スギ)」の名は、真直ぐの木「直木(スギ)」か、上へ進みあがる木として「進木(ススギ)」が語源らしい。
また、アイヌの言葉で「シンクニー」(真っすぐな木)からとも。

たちこめる霧の中、枝が無くスッーと真っ直ぐ伸びた端正な姿が並ぶ杉の美林。

細長く伸びる杉 杉林 道南杉の山

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