家と草木のアトリエhausgras

雑木林が間近の2階ウッドデッキにて

「 雑木林によりそう家 」の2階ウッドデッキにて

雑木林によりそう家1
ー 雑木林の風景が間近にある暮らし ー

札幌市営地下鉄駅から徒歩圏内でありながら、古来の自然地形と豊かな植生の雑木林(森)が残る公園に隣接している垂涎の土地。
2階は38畳のひと繋がりの広い室内空間になっていて、森の樹々の葉に触れられる程近い約8畳のウッドデッキが外に広がっている。
森に面して連続する大きな木製ガラス窓越しに、樹々の季節の移ろいや小動物の息づかいを日々感じながら、心安らかに過ごせる家。


住宅雑誌「Replan」(リプラン)
巻頭特集「冬を楽しむ」掲載記事より


雑木林によりそう家

自然の息吹を身近に感じながら暮らしたい。思いを募らせ、ついに巡り会ったこの土地。
札幌市営地下鉄駅から徒歩圏内の住宅地でありながら、古来の自然な地形と豊かな植生の雑木林を有する公園に隣接している。
私がこの土地を初めて見たのは12月に入ってから。雑木林の樹々の葉はすっかり落ちて、根雪の降る頃だった。
施主とプランを練っていた時間は、ちょうど雪のある季節と重なり、冬の暮らし、雪との関わりを話題にすることが多かったように思う。
「屋根から下ろした雪をためて、2階ウッドテラスから雑木林の斜面へ連続する雪のスロープを作って滑り降りてみたい!」
雪は遊び心をかき立てる。この何とも楽しげな施主のアイディアは早くも実現しそうだ。

雑木林の林床は、この土地より1メートル程高いのだが、2階をリビング・ダイニングにしたことで、そのことが活きた。
木立透しの視界抜けが最もよい高さとなり、積もりたての美しい雪景色を見渡すにも丁度よかった。
1階の屋根上に設けたウッドテラスは、まさに雑木林の展望台だ。
そしてもちろん、室内に居ながらも雑木林をより身近に感じられるように、窓を広く大きく付けることにした。
すると、断熱性能の高い窓ではあるが、冬に窓ガラスが冷やされて生じる冷輻射と冷気流は、それ相応の強さになるので対策が必須で、
この家の場合、リビング・ダイニングの連続窓の直下に同じ長さで、放熱量3500kcal/hの温水パネルヒーターを設置した。
愚直ではあるが、これに勝る窓の寒さ対策は無い。寒さの原因となる所に必要なだけの熱を補う。
そうすれば、過度に室温を上げることも空気を乱すことも無く、乾燥感の少ない平静な空気の室内で快適安心に過ごせるのだ。

また、この家にはいつも音楽が流れている。施主が収集したLP盤が約800枚、CDが約1000枚あり、
これらがリビング・ダイニングに居て取り出しやすく、ジ ャケットが日焼けしにくい場所に収納したいと特に望まれ、
天井まで伸びるコの字型の収納棚が、必然の結果としてこの家のコアになっている。
室内でより長い時を過ごす北国の冬。心温もる音楽は、何よりのパートナーであることだろう。

家と草木のアトリエhausgras
ハスイケシンヤ

雑木林の新緑と黒い木の外壁の家

長い冬の後、待ちに待った新緑の頃。眩しいほどの緑のシャワーです。
この雑木林(森)は、本来の植生と地形をそのまま残した、広大な自然公園の一部。
その森が手に届くほど近い2階ウッドデッキの床下では、エゾリスが巣作り子育てをする年もあったり、
カッコウの鳴き声、キツツキのドラミングなど、たくさん野鳥の息づかいも感じられます。

雑木林が間近のウッドデッキに出る

夏に涼むのは専ら、2階のウッドデッキ。雑木林の樹々の蒼々とした緑に囲まれて。
この家で生まれたお子さんにとっても、ここはお気に入りの場所であることでしょう。

ウッドデッキで雑木林の緑に囲まれる3人家族

窓際の観葉植物

窓辺にも観葉植物がいくつも置かれ、室内も草木の緑に溢れている家です。


晩秋 落葉の頃 夕方のダイニングテーブルで一服

落葉の頃。樹々の葉が落ちると、室内へ入ってくる光が増えます。
白い雪の積もる冬は、もっと明るい。

葉が落ちた雑木林をキッチンから見る

晩秋の夕方に温かみのある色合いの明かりが灯る、落ち着いた室内。
ダイニングの照明は、真鍮ソケットに裸のエジソンランプの組み合わせのペンダントライトが3個。

落葉した樹々の森は、視界が開けて広がりを感じます。

温かみのある色合いの明かりが灯る室内

LP盤CD収納棚

リビングダイニングのある2階の中心には、オーナーの音楽コレクションを集めたLP盤CDの収納棚があります。
この家での暮らしは、音楽も常に傍に在るもののひとつ。

CD棚とソファと子ども

ダイニングで雪積もる雑木林を眺める

雪が積もる頃。静寂感が漂う白い雪が積もる雑木林(森)を、そっと眺めながら過ごす日々。

雪が積もる雑木林を眺めながらダイニングテーブルにて

雑木林(森)のめくるめく四季の変化を、いつも身近に感じながら。

ダイニングテーブルで過ごす冬の夕暮れ時