農地の脇には清んだ小川が流れて
2025年4月30日
函館市街地から車で20分ほどのところにある丘陵地。
そこに来年移住される方から、新しい住まいづくりのご相談があり現地へ行ってきました。
しばらく放置されていた先祖の所有地を、数年か前からご家族だけで少しずつ手を入れてきたそうです。
その証、自然に生えてきていた灌木を伐って、薪にするべく築いたスイス積みがいくつか。
どんなに形の悪い薪を積んでも崩れず、風当たり満遍なくよく乾く積み方らしい。
農地の西境には感じのよい小川がありました。
しみ出した水が集まったような清らかさ冷たさです。
川縁の高さ3メートルくらいの崖を見ると、そのほとんどが火山灰火山礫の層。
ちょっと調べてみたら、この辺り一体は4万年前の氷河期に、近くで起きた火山活動によって形成した地層地形のようです。
湧水を集めて流れる小川、背後にはちょうどよい高さで穏やかな山の稜線が伸びていて、遠い記憶とつながる海の眺めとかすかにただよう潮の香り。
ロケーションはこれ以上なく、ルーツでもあるかけがえのない場所。
暮らし始めてから初訪問
2025年4月29日
今年の2月22日に新築完成しお引き渡しをした道南の七飯(ななえ)の家。
3月上旬に引越して暮らし始められて1ヶ月半が経ち、初訪問させていただきました。
ダイニングでのご家族。
タモの無垢材ダイニングテーブルは新しく購入されたようですが、全く違和感なくすんなりとそこにある。
そういえば、すぐ近くの階段手すりの笠木(手で握るところ)もタモ無垢材の1本モノでした。
1階フリールームで遊ぶお子さん。
床がトドマツ無垢材なので、冷たく感じないのも効いているのか裸足で過ごしているようです。
お引き渡し直線に10枚程張り直した無塗装のままのトドマツ外壁板は、当初、日焼け具合が違うので色味の差がかなり出ていましたが、たった1ヶ月半で他の板と同化してしまい、もうどこを張り直したのか分からないほど。
自然素材・自然風化のこういうところは、いつも想定を超えていて驚かされる。
敷地内の植え込み、グランドカバーの種蒔き、裏の野菜畑作りは着々と進んでいました。
この土地この家でのご家族の暮らしも、あっという間に馴染んでしまうでしょう。
工事契約と設計契約をしました
2025年4月8日
4月8日、札幌市内で新築する家の工事契約と設計契約を結ばせていただきました。
工務店さんの事務所にて。
工務店社長から瑕疵(かし)担保責任保険の説明を受ける施主ご夫妻。
間取りは極めてシンプルで端正な外観の家ですが、連続窓に囲まれたダイニング、リビングには薪ストーブがあったり、内外にレンガ壁があったりと、見どころが程よく散りばめられている。
そして、陽当たり良好で手入れがしやすい広さのガーデンと菜園が、家に添うように少しずつ作り込まれていくことでしょう。
6月着工予定で、諸手続きを進めていきます。
雪が融けたので再び建設予定地へ
2025年4月2日
北海道 日高・平取(びらとり)のトマト農家の新築住宅計画。
雪が融けたので敷地状況の再確認に行ってきました。
敷地の北側から南の方を向く。
家の四隅にあたるところに木杭を立てて、配置などを大雑把に確認してみました。
南側から北側を向いて撮ってみる。
広過ぎて、計画している家が本当に小さく感じますが、桁行11メートルある建坪30坪の予定です。
完成引き渡しの後にセルフ塗装
2025年2月27日
道南の七飯(ななえ)の家が完成して、先週末にオーナーへお引き渡ししました。
午前中に住設機器の説明などを済ませて、午後はオーナーが床板と階段手すりのセルフ塗装を実施。
塗料はオスモのエキストラクリアを使用します。
手すりのタモ無垢材がオイルで濡れて濃く変わる。
杢目もよりハッキリと表れます。
フローリングのトドマツ無垢板も、オイルを塗るとよい感じの薄飴色に変わっていく。
一人で作業したとして床面積約34坪の床の塗装に、2日間、時間で言うと10〜12時間くらいかかる。
また、オスモのエキストラクリアを4〜5リットル使いました。
施主オーナーが丁寧にセルフ塗装して、この家が完全に仕上がりました。
オイルの乾燥と臭いを抜く期間として1週間ほど空けていただきます。
そしていよいよ、来月から新しいこの家での暮らしが始まります。
工務店の作業場を訪問する
2025年2月9日
羊蹄山南麓の住宅の計画。
施主さんと一緒に新築工事をお願いする工務店を訪問しました。
手押カンナ盤、自動カンナ盤、軸傾斜丸ノコ昇降盤、パネルソー。
私も馴染みのある基本の木工機械が揃っています。
現在は有珠山展望台のデッキ工事のためデッキ材加工中でした。
そして、作業場定番のドラム缶ストーブも。

社長さんと息子さん、それに20代の若い大工さん。
この若さ溢れる大工チームに工事をお任せします。
ほたて漆喰を塗る
2025年1月30日
道南の七飯(ななえ)の家、新築工事が終盤です。
壁と一部の天井には「ほたて漆喰」を塗って仕上げました。
北海道伊達市のあいもり株式会社の製品です。
本物のホタテの貝殻を砕いて原材料としている。
北海道で盛んなホタテ養殖に伴い大量に発生するホタテの貝殻。かつては捨てられるだけだった貝殻が、建築素材として再生利用されるようになった。
それでけで使う意味はある、と私は思います。
ちなみにhausgrasでは、ガーデニングの土を中性化するために、ホタテ貝殻を砕いた有機石灰を当初から使っています。
細かく砕かれたホタテ貝殻ですが、全てが粉状になっているわけではないので、左官材料の骨材としては荒め。
それが塗り仕上がりのザラっと素朴な表情として出ています。
ほたて漆喰塗りたての空間。
節のあるトドマツ小割り板張りの天井との相性はとてもよいと思う。
おおらかさ優しさ、この包容性は、ここで暮らすご家族に心地よく感じてもらえるに違いない。

外気温が氷点下に下がる冬の壁塗り工事なので、室温の管理に気をつけてもらいました。
小型の電気暖房機器を使って室内を温め、常に10℃以上をキープ。
壁塗り仕上げ工事も無事に終わって、いよいよラストスパートです。
日本古来の家屋のような
2025年1月15日
道南の七飯(ななえ)で新築中のほぼ平屋の家。
外部工事のための仮設足場が撤去され、外観が姿を現しました。
前面道路から正面を向くと、緩い切妻屋根のこじんまりと慎ましい平屋に見えます。
南へ移動して見ると、雁行した軒先ライン、段々と折り重なる屋根の伸びやかな平屋に。
軒がしっかりと出ていて低く、日本古来の家屋を思わせる。
積もる雪、降りしきる雪の一面銀世界の中、
無垢トドマツ板張り外壁のほんのりとした温かみが、一層印象的に眼に映りました。