土壁の中塗りが仕上がった2階の真壁。
塗ったばかりでまだ水分が多く含まれていて、土の色が濃い。
荒壁(荒塗り壁)と、塗りあがった中塗り壁に欄間格子から光が射す。
荒塗り土に被っていく、中塗り土。
中塗り土には、砂と藁スサが多く混ざっていることが分かります。
荒塗りには、下地の小舞(こまい)に食い込ませるように荒土(粗土)を塗り着けて一体化させ、壁としての強度を生む役割、
中塗りには、干割れなどで粗く凸凹している荒壁の表面を平滑に均して、仕上げの漆喰塗りとの馴染みをよくする役割がある。
広めの真壁の荒塗り壁に中塗り土を被せていく左官屋さん。
古い壁面がかなり歪んでいるので、時々、定規をあてて塗り厚さを調整しながら進めています。
中塗りが完了した床の間の壁。
床の間の荒壁の上に中塗りをかける左官屋さん。
荒壁塗りの床の間の壁。
土壁の表面全体に乾燥収縮による干割れが出ています。
ギザギザの切れ目は、大きな割れ(クラック)を防ぐために、左官屋さんが予めコテで切っておいた跡。
中塗り用の土に、さらに藁スサを混ぜます。
仕上げの漆喰塗りをする前に、壁の下地調整をする「中塗り」をします。これはその中塗り用土。
良質な粘土と砂を混ぜ合わせたものです。
引き違い格子戸の鍵穴を掘る建具屋さん。
2階座敷の引き違い格子戸と障子の建て込み。
玄関の高山格子の引き違いガラス戸を建て込む建具屋さん。
石頭(セットウ)とコヤスケを使って石の角をはつる(叩き割る)石屋さん。
厚い石版の表面をエアーハンマーを使って小叩き。
彫り深い表情になっていく地元 飛騨産の溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)。
再生工事で追加した2階の大黒柱と四方差しの梁組み。大黒柱はヒノキで、梁はヒメコマツ(姫小松)。
ヒメコマツは五葉松の別名で、飛騨地方の家々の梁に使われています。
ロフトの床梁もヒメコマツ。
干割れた荒土壁と藁スサが浮かぶ真っ黒に煤けた土壁。
昔はこの荒壁のまま、暮らしを営んでいたようです。
黒く煤けた壁が、元々のこの長屋の形。
明治初期に建築された当初は、切妻屋根だったようです。
隣家との界壁。明治初期の建築当時のままの小舞(コマイ)壁下地です。
葦(ヨシ・アシ)茅(カヤ)を数本ずつ束ねて、所々を稲藁で結い、網目状に編まれています。
また、1尺くらい間隔で割竹で補強もされている、竹と葦(茅)の小舞。
1階の荒土壁は明治初期のままですが、土台上など傷みがある箇所は新たな土で補修してもらいました。
ギザギザとコテで切った跡のある土がその部分です。
馬の形に見える大きめの干割れのある土補修部分は、今回のものでは有りません。何十年か前に補修されたのでしょう。
畳の下地となる荒床板を撤去したところ、床組の敷石が出てきました。
この石は全て、川辺に新たにつくった石畳の庭に使いました。
壁の最下部 土台は束立てしないで、並べられた石の上に直接据えられた石場建て。
石は硬くて角が丸い。河原石を使っているようです。
古い壁に貼られたカレンダーや風景画や年表が時代を感じる。
2階から階段下の方を見下ろす。
再生工事が始まる前の1階。全の部屋が、引き違い戸で間仕切られています。
煤けて黒い2階床梁組みと、畳敷きの粗床板張り。
江名古川越しに、再生工事前の古い町家(古民家)の姿。
増改築を繰り返したようで、護岸の石積みの直上に家の壁が載っています。
町並みの道路側から、再生工事前の古い町家(古民家)の正面。
この町家の再生工事に関わっていただいた工事業者は、
大工 安藤建築(下岡本町)
製材 丸弘木材(新宮町)
左官 北川左官(大新町)
建具 谷本建具(松之木町)
石工 岩滝石材(滝町)
製畳 桑畳店(川原町)
解体 高原建機(鉄砲町)
皆さん地元 飛騨高山市の方々です。感謝。