家と草木のアトリエhausgras

黒漆喰塗りの床の間

「 飛騨高山の古い町家 」の2階座敷と黒漆喰の床の間

飛騨高山の古い町家の再生
ー 町家の茶会と桜咲く江名子川 ー

飛騨 高山の江名子川沿いに明治8年(1875年)に建てられ、当時の姿残る築150年の古い長屋の町家。
地元 飛騨の木・土・石と職人の手仕事でこの古町家(古民家)を再生させたいと思い、こだわりは隅々に。
古きよき高山の町家・町並みの佇まい、その面影と職人仕事が、できる限り永く残っていくことを願って。

往来側(道路側)の建具の格子の意匠

町並みの往来側から、江名子川の川辺の樹々と護岸の石積みが見通せる気持ちのよい町家。
間口が2間(3.64メートル)、奥行き3間(5.46メートル)のかなり小さい空間です。

明治8年(1875年)に長屋として建てられ、当時の骨格(基礎石と土台と柱梁組み)を残す貴重な建築ですから、
柱と梁と壁はできる限りそのまま残して、新たな構造部材を加えて補強する躯体再生としました。

玄関の引違い戸には、飛騨高山の独自の意匠「高山格子」(たかやまこうし)。
出格子には、より繊細な「吹き寄せ連子格子」(ふきよせれんじこうし)。
この町に昔からあるこれらの格子意匠を選んだので、しっくりと馴染んでいます。

在釜の貼紙と藍染の暖簾が掛かる

この日は再生された町家にて、初めての茶会。
「在釜」(ざいふ)の貼紙と入口に掛けられた藍渋染の暖簾(のれん)が、それを知らせています。



床の間に活けられた椿と白い茶碗

2階座敷の床の間に活けられた椿(ツバキ)。
三月下旬で、まだ朝晩の寒さは強い高山での茶会です。

床の間の灰墨を混ぜて練られた黒漆喰塗りの正面壁には、染色家の芹沢銈介 作「微笑観音」が掛けられ、
白釉の茶碗、朱塗り高台皿と黒塗りの角台の漆器のしつらえ。

床の間の観音画と椿の花入と白い茶碗と赤い漆器

白いモノや色彩のあるモノ、そして草木花の瑞々しさがよく映えます。



再生された町家での茶会に招かれた親子

茶会に招いた方々。お越しくださりありがとうございます。

地再生された町家の茶会の主人 古美術商の江間さん

この茶会の主人、古美術商Eさんのお手並。感謝です。

再生された町家での茶会に招かれた夫妻


黒漆喰塗りの床の間に置かれた古伊万里の白磁壺

灰墨色の黒漆喰塗りと黒い板張りの床の間に置かれた、古伊万里の白磁壺。

再生された町家の2階の座敷

座敷の畳は、七島藺(しちとうい)の縁無し畳です。
七島藺は通常の畳表のイグサより、5~6倍も強靭で耐摩耗性があります。それで縁無しにできるということもあるでしょう。
七島藺の断面は円形ではなく三角形。それ故にイグサの畳表よりも素朴で無骨な仕上がり肌触りとなりますが味わい深い。
この七島藺畳の実直な有り様は、この再生された古い町家にはよく合っています。



江名子川の川辺の桜が咲く頃の東山白山神社の屋台蔵と再生された町家

季節は移り、江名子川沿いの桜が咲く頃。
色褪せた簾の掛かる町家も枯れた風情があります。

江名子川に架かる左京橋の袂の桜(ソメイヨシノ)の古木が花びらを散らし花吹雪 東山白山神社の屋台蔵

江名子川に架かる左京橋のたもとのソメイヨシノの古木が、ひとしきり花びらを散らし花吹雪。
この桜の古木は再生町家のすぐ傍にあって、町家と共に百数十年を過ごしてきたのかもしれません。

散った桜の花びらは、江名子川の川面をゆっくりと流れ下っていき、弥生橋のたもとで次の宮川の流れに。

飛騨高山の江名子川の川面を流れる散った桜の花びら
江名子川と鴨(カモ)

鴨がクチバシで川底をさらうようにして何やら食べています。実にのどか。

江名子川の石積みの護岸壁と階段と満開の枝垂桜(シダレザクラ)

江名子川の石積み護岸壁には、所々に石階段があります。
ほんのひと昔前、この流れはもっと澄んでいて、日々の暮らしと親密だったことでしょう。

かつて高山城の外堀として城郭の一辺を成していた江名子川と、その川縁にぽつぽつと在る古木が咲かせる桜の花。
いつまでもここに居たくなるような風情をたたえています。

高山の江名子川に覆うように咲く桜ソメイヨシノ