
円山原始林の北西山麓のこんな沢筋でよく見かけるカツラ。
山の清き水が豊富に流れる肥沃な土壌を好むらしい。
適したところで育つ樹は、カツラに限らず活き活きとしています。
そんな姿を見ると気持ちがよく、元気がもらえる気がする。

円山動物園の正門脇から、円山川に沿った遊歩道(自然歩道 円山ルート)を少し登ると、カツラの古木がそびえています。
太い幹の、いわゆる巨木ではありませんが、樹齢は数百年のはず。
萌芽力の強いカツラは、元はあった主幹が何らかの原因で折れても、
ひこばえを繰り返して、いくつもの複雑に伸び広がる幹が集まった株立ち姿となって生き続けます。

上を見上げると、枝が四方水平に広がり、辺り一帯が小さいハート型のカツラの葉に埋め尽くされています。
このカツラだけで、ひとつの森を成しているかのよう。

このカツラの根元辺り。

これは、地中から這い出した根なのか、それとも、地表を這う幹なのか。
地中にあって見えない根も、ひこばえ幹のように複雑に広がっているのでしょう。
カツラの、強く逞しい生命力を感じずにはいられません。

そんなヒコバエのカツラが、あちこちに生えているのが円山原始林です。

巨大なマングローブのようにも見える、ひこばえカツラの巨木根元周り。
株全体としての直径は4メートル程ですから、目通り幹囲は10メートルを超えています。
どうやら、現在はこのカツラが円山原始林で一番大きいらしい。

遊歩道から簡単に人が近寄れる平地に立っているので、このカツラに気軽に親しめるのはよいのですが、
幸か不幸か、それ故に根の張っている周囲の土が、人に踏み固められて樹勢が衰えてきていたようです。
そんな様子を見かねた有志の方々に、数年前から保護され始めているとのこと。

他の樹では見られない、何本かの幹が並び立って一つの株となっている荘厳な円山のカツラ。
いつまでもこのままの姿で、円山の原生林の象徴として存在し続けて欲しいものです。


そんな円山のカツラを棲家にしているエゾリス。
倒木の上を走り回るシマリス。

野生の小動物も育む、豊かな円山原始林。

秋になると、黄金色に黄葉する円山のカツラ。
カツラの独特な甘香ばしい香りが、辺りに強く漂うのもこの頃です。
カツラの落ち葉を焚いて抹香としていた地方もあり、「香の木」(こうのき)と別名で呼ばれることもある。
「カツラ」は「香出(かづ)ら」からきているという説があります。

落葉したカツラの葉。直径5センチ程のハート型で愛らしい。
小さいバナナのような形をしたカツラの袋果(たいか)。
この中に1片の羽が付いた翼果(よくか)が詰まっています。
札幌市営地下鉄の円山公園駅から円山球場・円山動物園へと続く林間の歩道が、晩秋は落ち葉の小径になります。

朝露に濡れた早朝や、時雨て落ちたばかりなら、こんなに静謐でしっとりとしています。
通勤通学や動物園と競技場球場へと行き交う人の多い小径ですから、すぐに踏まれて黒ずんでいってしまうのが惜しい。

スマートなイタヤカエデばかりの明るい中を抜ける小径。
まだ枝に残る黄葉と、もう落ちてしまった落葉の、色の違いが美しいです。

落ち葉を見ると、エゾイタヤ、アカイタヤ、ハルニレ、アサダ、シナノキ、カツラがある。
まだ早い時期の落葉は、色づきが淡い。


秋が深まるにつれ、落葉の色が濃くなっていきます。

これは、イタヤカエデの変種で「アカイタヤ」の黄葉。
イタヤカエデ(エゾイタヤ)は7裂している葉が多いですが、アカイタヤは5裂の葉が多くてその切れ込みも浅いので見分けられます。
アカイタヤと名づけられたのは、春の葉芽がカツラと同じように赤いから。
円山山麓によく見られるこのアカイタヤとカツラが主になって、春に赤、夏に緑、秋の黄と、円山の四季をを彩ってくれる。

4月下旬、円山が赤く色づきます。
これはカツラとアカイタヤの葉の芽吹きの色。

円山墓地の上辺りから円山動物園までの北側斜面が、特に多く広がっています。

カツラの葉の新芽も若い枝も、このとおり紅い。
さて、秋の風景に戻ります。

冷え込みが強まる日は、それこそ降るように黄葉が落ちてきて、辺り一面が見事な黄金世界に。

一枚一枚の葉が大きいくて立体感があるので、積り嵩があってフカフカしている。
それをカサカサと踏みしめながら歩くのが、恒例のささやかな楽しみです。


ヤマモミジも黄葉します。
イタヤカエデの葉より小さくて、葉の切れ込み深い。そして、葉の外縁に細かいギザギザがある。

いろいろな樹の落ち葉が見えますが、ヤマモミジとイタヤカエデの落ち葉は真黄色でよく分かります。

年によって、イタヤカエデは赤く紅葉することも。
そんな秋の紅葉は、他の樹々も鮮やかに色づいて見応えがある。

晩秋、ほとんどの落ち葉が枯れてしまっている上に、ハリギリ(センノキ)の黄葉が落ちてきていました。

11月下旬、広葉樹の落葉が終わった頃に、円山公園内のカラマツがハラハラと針のような葉を落とします。
日本原産の針葉樹では唯一、秋に葉を落とすので「落葉松」(からまつ)と当字されたりもする。

今では北海道内いたる所で見られるカラマツですが、元々は北海道内に自生していない樹です。
円山公園が公園として整備される前の、明治前半期の1880〜1890年頃。
この辺り一帯は、北海道の気候に適した有用樹種を植樹育成して探る「養樹園」だったそうです。
カラマツは特に期待される樹種として、明治23年に信州産の苗木がここに植えられました。
正にこの円山公園のカラマツが、北海道カラマツの事始め、なのです。

初雪の頃、早朝に降った雪が積もるベンチ。
イチョウの落ち葉はまだ鮮やかな黄色のまま。

年が明けると、雪が一気に積もって白銀世界に。

雪積もる真冬も、通勤通学で通り抜ける人、散歩で訪れる人などが多い円山公園。
こんな細い雪の小径がいたる所に出来て繋がっていきます。

そんな雪積もる円山公園へ、ランニングするために通うようになりました。
ランニングで履いているのは、イノヴェイトのロックライト286GTX。
ゴアテックスの軽量トレイルラン用シューズで、特に氷雪対応ではないのですが結構グリップします。
でもやっぱりアイスバーンは厳しいかな。


朝焼けでポプラのシルエットがくっきり。
かなり大胆な枝切がなされていて、本来の姿ではないのかもしれませんが、細枝が上を向いてホウキ状に伸びています。
美しい並木を成すため世界中で植えられているポプラ、セイヨウハコヤナギ(イタリアヤマナラシ)。

幹の下部に瘤がよくできることも、特徴のひとつらしいです。
その瘤に白い雪が積もって、白眉白髭の顔に見えて面白い。

真冬の円山公園は、マイナス10℃くらいに冷え込むのはよくあること。
そんな朝に走ると、踏みしめた雪がキュッキュッと鳴ります。

円山川が流れ込んでいる円山公園の上の池。
この時期は氷結していることが多いです。

数年前、円山公園の北側にスターバックスコーヒー札幌宮ヶ丘店が出来たので、
体が冷えてしまっても温かい飲み物でひと息つけて安心できる。

円山動物園の正門脇から伸びる木歩道を降りて、円山川の流れの方へ。

札幌ではほとんど見られない杉林が円山川沿いにあります。
これも明治23年(1890年)頃に植えられたものらしい。
「尾根マツ、沢スギ、中ヒノキ」という言葉があるように、杉は沢地形で湿潤・肥沃な場所を好みます。それはカツラと同じ。
本州の杉の二次林の中に、ぽつんとカツラの老大木が残されているというシチュエーションはよくある。

円山川の流れも凍てつく冷え込みの中、
雪を被って、凛と佇む円山のカツラです。

季節は巡り、初夏の円山公園。

気持ちのよい木陰アーチになる、円山公園メインストリート。

見上げると、空の青より葉の緑。

このしっかり見通しがきいて、その上が爽やかな新緑で覆われている感じは最高です。

人慣れした円山公園のエゾリス。
傍を通ると、逃げるどころかむしろ近寄ってきてしまいます。


毎年、マガモが子育てをする上の池と下の池。
5月生まれの7羽のヒナが、泳ぎの練習中です。
オシドリも少し遅れて子育て。
オシドリの雄は子育てをしないようですが。


夏は濃い緑に覆われる円山公園の上の池。

樹々の濃い緑を映しています。この池には、円山の北西山麓を流れる円山川が流れ込んでいる。

普段道端で見ると苦々しく思う鴨茅(カモガヤ)ですが、こんな風に水辺にあるとなぜか風情を感じてしまう。

7月上旬、オシドリの雛がすっかり大きくなっています。
芝生に潜む虫をついばむ雛と、周囲の警戒を怠らない母鳥。
そこへ、いたいけな子供が近づいてきて。

ちょっとパニック。でもこういう避難訓練も大事です。
NHKの「ダーウィンが来た!」で、北海道大学構内でのオシドリの子育ての様子が2020年1月に放送されました。
こんな微笑ましい光景が、円山公園だけでなく、札幌の街のいたる所で見られるようです。