家と草木のアトリエhausgras

気密と断熱と通気

北海道の冬の気温は室内が20℃で外が−10℃の時、その温度差は30℃もあります。
これだけの温度差があると、外の空気が家の低いところから入って来て、室内の空気が家の高いところから出て行く流れがとても強まります。
そんな状況下で、隙間が大きい家ならば、どんどん外の冷たい空気が室内に流れ込み、同時に室内で暖めた空気は逃げて行くことになり、いくら暖めても寒さがおさまらない暖房用燃料を無駄使いする家になってしまいます。
それに、室内の空気が隙間から壁の中に入り込むことで、壁の中の温度差がある部分で結露がおきて、土台や柱梁が腐る原因、断熱性能が下がる原因になることがわかっていますから、そうならないように北海道の家は高気密にすることが必要です。

国で定めた次世代省エネルギー基準では、
北海道地域の相当すきま面積 基準値は 2.0cm2/m2 とされていますが、hausgrasが設計と工事監理をする家では 0.5〜0.3cm2/m2 とより高い気密になるよう施工しています。
断熱層の室内側に水蒸気を通さない厚さ0.1〜0.2ミリのポリエチレンフィルムを、途切れないよう連続させて貼付け、フィルムの継ぎ目と端部、フィルムに空いた配線配管の穴をきちっと気密処理することが肝要です。

気密フィルムと断熱材の充填と外壁通気屋根通気を説明する断面すけっち

壁の断熱は柱や梁の間の空間に厚さ100ミリの高性能グラスウールを充填し、さらにその外側、に厚さ100ミリの外断熱層を付加。屋根の断熱層は厚さが300〜350ミリのロックウールをブローイングで隙間無く充填しています。
断熱層の外側に貼る防水透湿シート(タイベックシートなど)は、雨水などで断熱材が濡れるを防ぐとともに、壁の中に入りんだり自然発生した水蒸気を外に透し出す機能があり、断熱層を水や湿気から守ってくれます。

また、断熱層と外壁板、断熱層と野地板の間には必ず通気層を設けます。
ここに通気層があると断熱層からの水蒸気は速やかに放散されますし、吹き込む雨や多湿の空気にさらされた外壁板や野地板の裏側が蒸れて腐ることもなくなります。通気層内には常に適度な空気の流れが生じているので、夏の熱さや冬の寒さを緩衝する働きも。

このように互いに関係のある気密層と断熱層と通気層が一体に施工されることで相乗効果がうまれ、北海道のような厳しい気候条件でも、過去の家とは比較にならないほどの高い耐久性、省エネルギー性能の家になります。

ちなみに、木造躯体部分の外張断熱材として、北海道内でも一般によく使用されている発泡プラスチック系断熱材(押し出し発泡ポリスチレン・ウレタンフォーム・フェノールフォームなど)を私は採用しません。その理由は下記の3つです。

外側に透湿抵抗の高い発泡プラスチック系断熱面材があると、壁体内で発生したり入り込んだ水蒸気(湿気)が外側へスムーズに排出されにくくなり、壁体内結露(内部結露)を生じやすくなること。
地球温暖化を懸念して省エネルギーやローインパクトな建築物を志向しているにも関わらず、石油を原材料にした建材を多く使うことに矛盾を感じること。
もし火災が発生した場合に、発泡プラスチック系断熱材はその燃焼拡大時間が比較的短時間であり、燃えると有毒なガスが発生して避難や消火活動に危険が生じる可能性があること。

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