北海道産の広葉樹、ナラ・タモ・ニレ・セン・クリ・マカバ・シラカバの床板(フローリング)。
これから始まる新築の住宅設計で選択肢に入れて使っていきます。
現物のカットサンプルを見ながら、樹種の特徴やストック量の確認、制作現場の現状などをお聞きしました。
こんな辣腕マネージャー的な方に久しぶりにお会いしたような気がします。
机上に並べてみました。
右からナラ、セン、ニレ、シラカバとマカバ、タモ、クリ。
「ナラ」
どんぐりが実る樹の代表ミズナラです。フローリングとしては最もポピュラー。
落ち着いた色味に杢目と斑(ふ)が入り混じって深みのある雰囲気を醸し出している。
人気があるので生産が追いつかないこともよくあるらしい。
「セン」
円山周辺にも多く自生していて、ハリギリという樹名です。
幹に棘(針)があり、桐に似て真っ直ぐ立ち大きな葉を茂らせるので。
杢目の感じはケヤキに似ている。白っぽい(淡灰色)ケヤキのようです。
「ニレ」
北海道ではハルニレ、オヒョウ、ノニレなど街や公園や野山で一番見かけるような気がする樹。
エルムと訳されてシンボリックに用いられたりして親しまれている。
こちらもケヤキによく似た雰囲気の杢目。センより淡く赤褐色がかっていて芯部はそれが濃い。
タモ材にも似ているとして赤ダモという別名もあるけれど、私はケヤキの方が近いと思います。
上「シラカバ」で下「マカバ」
同じカバノキ科でよく似ている。どちらも他の広葉樹とは一線を画す雰囲気で白っぽくてキメ細やかな木肌。
散孔材のサクラ・ミズメザクラとかシナとかイタヤカエデに近いです。
芯に近い部分は赤味が強くて、辺部の白っぽさと差がある。
「タモ」
樹としては大木になるヤチダモです。タモの建築造作材や家具材としてもよく使われています。
いわゆる環孔材で道管が太くて濃く見えるため、ハッキリした杢目として表れている。
「クリ」
北海道では道南地方限定で伐り出され今はもう産出量が少ないらしい。
タンニンを多く含み腐りにくい木材で、かつては鉄道の枕木や住宅の土台として使われていた。
淡い黄褐色で渋みのある表情をしていると思う。
それぞれに違った魅力のある北海道産の広葉樹の無垢の床板。
ただ、もはや希少な広葉樹ですから、生産量や在庫はその都度確認が必要になると思います。
それから、同じモノでも入手する相手や経路によって、値段が大きく変わりますから要注意です。
植林もされて蓄材量生産量が安定しているトドマツ・カラマツ・道南スギの北海道産針葉樹もあり、その程よい柔らかな足触りと温かみも魅力的です。
使い心地とともに使う意義についても建主さんと悩んで選び、よりよい家づくりとなるように。