家と草木のアトリエhausgras

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2022年7月25日



North Woods ノースウッズパドル


カヌーのウッドパドルが増えました。

アメリカの急速なインフレで、さらなる物価上昇と円安が進む前に個人輸入しました。
私が4月に購入した後に、価格が15%程値上げされています。


コンクリート壁にかけられたシングルブレードのウッドパドル

メイン州オロノのパドルメーカー Shaw&Tenney(ショーアンドテニー)の「North Woods」と「Model 150」。
どちらのパドルも、ネイティブホワイトアッシュのワンピース削り出し。オイルフィニッシュ。
1本1本丁寧にハンドメイドされていて、杢目の美しさも成形木地仕上がりも素晴らしくて使うのをためらう程です。


ショーアンドテニーのパドルのブレード shaw tenney paddle ホワイトアッシュオイルフィニッシュ

ホワイトアッシュはアメリカとカナダにまたがる五大湖周辺まさにノースウッズが良質材の自生地で、古来からカヌーパドルの素材とされてきた。
力強くパドリングしても、しなり過ぎず程よく耐えるのがよいし、はっきりと表れる野趣な杢目がカヌーのパドルにはピッタリだと思う。
ちなみにメジャーリーグで使われているバットにホワイトアッシュが多いのは、硬さと反発力と比重のバランスがよいかららしい。
日本のプロ野球バット用材だったアオダモやヤチダモの近似樹種です。



ノースウッズパドルはグリップの形状に大きな特徴があります。

コンクリート壁にかけられたウッドパドルのグリップ

他のパドルのグリップと比べるとこのとおり。
グリップトップ下の平らな面が長く延長された形になっている。

shaw tenney north woods paddle ショーアンドテニーのノースウッズ ガイドパドルのグリップ

Shaw&Tenneyのウェブサイトでは「Stage Grip」(ステージグリップ)と記述されていました。


ショーアンドテニーのノースウッズ shaw tenney north woods paddle ガイドパドルのグリップ

このように、グリップトップを上から握って使うだけでなく、
15センチ程下の平らな面に横から手の平をあてて使ったりできるように作られています。


ウッドパドル ノースウッズ ガイドパドルのグリップ

ショーアンドテニーのパドル バジャーのラボンガ グレイアウルのトリッパー

ノースウッズパドルの長さは、66インチと長めを選びました。


ノースウッズのような特徴のグリップは「ガイドグリップ」とも呼ばれ、一般的には「ガイドパドル」とされると思う。
カヌーツアーのガイドが進行方向のずっと先を確認するため、カヌーの上で立ち上がった時もこのパドルで漕げるようにと、長めのモノを選んだとしても、グリップを握る位置を変えれば座った状態でも支障がなく漕げる。
それから、カヌーツアーは長時間であることが多いですから、パドルストロークにバリエーションがあった方がよいです。
グリップはトップを上から握った方が押し込む力を出しやすいけれども、それをずっと続けていると腕が疲れてくる。
流れにのっていたり、カヌーが進行し始めれば、強い推進力(ストローク)は必要ありません。
そんな時は、グリップ下のサイドに手をあててパドルを短くし楽に押して効率のよいストロークに変えられる。
こういうカヌーガイドやカヌーツアラーへの考慮がなされたパドルです。


Shaw tenneyショーアンドテニーのノースウッズパドル刻印

このNorth Woods(ノースウッズ)パドルの側面には「S+T NORTH WOODS #116」と味のあるフリーハンドの刻印が。

北米湖水地方ノースウッズのレジェンドガイドでありパドルメーカーでもあるアレクサンドラ コノバー ベネット。
A.C.ベネットが引退するまでの38年間に製作し続けたノースウッズパドルは552本で、それら1本1本にも同様の刻印がなされていたそう。
彼女から直にそのスピリッツを受け継ぎ、2019年頃からショーアンドテニーの新しいラインナップとして製作され始めました。
その「Shaw&Tenneyが製作した116本目のノースウッズパドル」がここに。

ルーツとなるノースウッズのウィルダネス。いつかこのパドルで漕いで旅してみたいものです。

カヌーとウッドパドルが壁に掛けられたコンクリート打ち放し室内空間

真夏の支笏湖にて、ノースウッドパドルでカヌーを漕いでみたショート動画をつくりました。
「ノースウッズストローク」すごく楽な漕ぎ方らしい。バリエーションに加えられるよう、この夏は練習に励みます。




遠い場所でつくられたモノ、長い時間を経てきたカタチを手にすると、そこへの思いが芽生えてまた心豊かになった気がする。
馴染みのある北海道の川や湖でも、新たな気持ちでカヌーの旅ができそうです。