完成お引き渡しを迎える、中標津の「パンと珈琲のこうば」新築工事。
懸案だった、古レンガ壁に掛ける新店舗の看板。私がを試作してみることにしました。
まずは、看板材です。
オーナーがセルフビルドで築きあげた古レンガ壁がよい雰囲気なのですから、やっぱり無垢の木の板が相応しい。
無垢の木なら心あたりのある、札幌市豊平区の「河野銘木店・木心庵(きしんあん)」へ探しに行ってみました。

ここには、テーブル天板や長いカウンター材となる大きな無垢の木も多くありますが、小さい木切れもあります。
でも、今回の看板にちょうどよさそうなサイズ、30センチ程×50センチ程の木切れがなかなか見つかりません。

しばしうろうろと。

「栗」です。
栗は耐不朽性が抜群で、かつては鉄道の枕木に使われていた程なので、雨晒し看板にもよさそう。
でも、あいにく厚過ぎるし、幅が細過ぎる。

カバノキ科の「アサダ」。
道管が細くて散らばっている散孔材ですから彫りやすそうだし、堅さもちょうどよい感じ。
でも、4辺とも機械カットされていて表面もプレーナーに通されて平滑なので、板としての味わいが少ないのが残念。

またしばらく探し続けていると、サイズ感も厚さも程よい「タモ」が見つかりました。
しかも辛うじて、一辺はミミ(樹皮と木理の境面の自然な曲面)が残っています。
このタモ材を選びました。

オーナーに看板文字データーを送ってもらい、早速、彫刻刀で彫ってみました。
ひらがなやカタカナはよいのですが、字体の都合、漢字の横線が細すぎて彫りにくい。

何とか5〜6時間で彫り上げて、彫った文字に耐候性のある白い塗料を塗りました。
古レンガ壁に掛けられる「パンと珈琲のこうば」新店舗の看板の出来上がり。
雪が融けた頃に、古レンガ積みの壁に掛けられると思います。