中標津の店舗兼住宅の新築工事の現場は、10月末に無事に上棟して屋根掛けに進んでいます。
そのそばで、施主ご家族がレンガ積みの壁をセルフビルドで築き始めました。
本州のどこかのレンガ窯に使われていた古煉瓦を、450個購入されました。
数十年前に焼かれた国産品のようです。
よく焼き締められた硬い赤煉瓦。常滑あたりのものでしょうか。
どれも角が欠けて色ムラも出て味わいがある。
モルタルがほとんど着いていないので、素積みされていたモノでしょう。
まずはレンガの周りに付けて固定する、モルタルづくりから。
レンガ積みは、レンガを並べ積む事自体より、モルタルをこねて塗り付ける作業の方が数倍大変なのです。
モルタルと砂を体積比1対2〜3と、水と混和剤を入れて高粘度用のかくはん機で混ぜ合わせる。
バケツを提げて持てるだけの量ずつ、何度も繰り返して練って運ぶ。
4百数十個のレンガを積むのに、普通ポルトランドセメント25キロを4袋と左官砂20キロを15袋くらい使ったのでは。
今回はその総量が300キロから400キロ。それにレンガ1個が約2.5キロありますから、400個以上なら1トン超え。
その負担は、腕と腰にかなりきます。
このレンガ積みの壁は、長手は半マス向き19列、短手は半マス向き11列のL型に15段積み上がり、
店の業務を象徴するような、そしてゲート的な意味あいもある構造物になります。
基礎コンクリートの上端に接着プライマーのハイフレックスを塗り、下地モルタルを塗り均してスタート。
施主ご夫妻は、レンガ積みをするのはこれが初めて。でもなぜか手慣れている感じがします。
それもそのはず、現在営業している店舗の内装はご夫妻のセルフビルドなのだとか。
それにこれは、粉練りと成形デコレーションですから、ご夫妻の日常業務に似ているのです。
ご夫妻で作業分担して、リズムよく進んでいく。
細かい所に囚われ過ぎない、程よいアバウトさ。
積みパターンは「イギリス積み」。
正面から見て、半マス向きを並べた段の上は、目地をズラして長手向きを並べて積みます。その繰り返し。
コーナーは強度を考慮して敢えてイレギュラー。
午後から、娘さんとお母さまも手伝いに来てくれました。
まずは、両親の作業をじっと見て。
新築工事が進む家と店を横目に、レンガ積みをするご家族。
もうただただ、微笑ましい光景でした。
その後再び、ご夫妻で黙々と続けるレンガ積み。
1日目は4〜5時間程で7段積み終えました。
翌日は8段目からスタート。
結局、2日間で完成したようです。
北海道産カラマツなどの木をふんだんに使った新しい店と地域に息づく森の草木、
そしてこの温もりある赤レンガ積みの壁が、お客さん達を迎えることになります。
美味しいパンと珈琲をいただく前に、お腹いっぱいになってしまうかも。