木は、繊維質の「セルロース」とそれを結合させる「リグニン」という多糖体からできています。
「セルロース」は鉄筋で「リグニン」はコンクリートのような役割とよく例えられます。
製材加工された木材は、紫外線と風雨によって徐々にリグニンの結合がゆるみ分解され、
そこへ木材腐朽菌が繁殖することでさらに分解されて自然に還っていきます。
オスモの主成分はひまわり油、大豆油、アザミ油などの分子が小さい天然植物油なので、
木材のリグニン自体により深く染み込み、その結合を補強する働きがあります。
つまり、木が分解されてゆく速度を遅らせることができるのです。
それから、植物油の浸透した木には、撥水性(はっすいせい)と耐摩耗性が現れます。
それでいて植物油は木の表面に塗膜をつくらないため、木本来のよい肌触りをそのまま感じることができ、
伸縮や通気性や調湿性などの木の特性が生きつつ、水滴はしっかり弾くので、木が蒸れて腐ることを防ぎます。
オスモをはじめオイルステインは、湿度の高い日本の気候により適している木材塗料と言えるのです。
合成樹脂(ウレタン、アクリルなど)で木をパックしてしまう塗膜系の塗装や、
木材腐朽菌(カビ)の繁殖を防ぐだけの防腐系の塗料などとは全く違います。
ドイツの「アウロ AURO」「リボス LIVOS」、イギリスの「ワトコ WATCO」、アメリカの「オリンピックステイン OLYMPIC STAIN」など、
数々のオイルステインを私は使ったことがありますけれども、塗った後の乾燥する速さ、塗りやすい粘度など塗装作業性への配慮が最もなされているはオスモ。
オスモが単に健康志向、自然原料に捉われことなく、家づくりの合理性も重要視していることは、家づくりに携わる私もとても共感できます。
オスモを塗るのに、職人さんのような高い技術は必要ありません。
表面に塗り伸ばしたオスモは、しばらく置くと木の内部へ浸透していくこともあり、木の表面に塗りムラが発生しにくいのです。
またオスモは、天然の植物樹脂成分の割合が、他のオイルステインに比べてとても多く、精製度も高い。
そのうえ、浸透性能や乾燥性能を高めるために止むを得ず配合される有機溶剤(鉱物油)は、有害成分を除去し揮発が速やかな「ホワイトスピリッツ」を使用。
こういう配慮があるかないかは雲泥の差です。原料の厳選と手間をかけた精製課程の結果、価格が高くなるのは止むを得ないと思っています。
住み始めてから塗装メンテナンスをするのは建主さんご自身であることは多いです。
ですから、作業性のよさや塗料の安全性が高いことに越したことはありません。
hausgrasでは建主さんが望まれれば、新築時の塗装作業を体験、あるいはセルフ塗装をしてもらっています。
塗装の経験をしておくとその要領がつかめ、後々の塗装メンテナンスの際に役立つことも多いはずです。
それに、オスモの塗装は意外と簡単な作業だと感じていただくことも大事。
そうすれば、塗装のメンテナンスを躊躇なくご自身でしていただけるのではないでしょうか。
現場でセルフ塗装をする建主さん。
現場で大梁に塗装をする大工さん。
オスモは簡単に塗り重ねができて、そうすることで木の古びていく様も味わい深くなります。その手入れの効果が実感できるのも楽しい。
木にオスモを塗れば、人は木に感じる本来のよさを永く感じ続けられると思います。
この家の床板と天井板は北海道産トドマツの無垢材。階段板は北海道産カラマツの無垢一枚板。
オスモの既製色をオリジナル調合した濃茶色を塗っています。
天井板と壁のシナベニヤに、杢目の透けるホワイトのオスモを塗ったフリールーム。
床板にはオスモのエキストラクリヤー(透明オイル)を塗っています。
赤レンガ積みの壁と、オスモの濃茶色を塗った縦板張りの引き戸、墨色オスモを塗った下見板張りの外壁の玄関ポーチ。
オスモの濃茶色で塗装した下見板張りの家の外観。
赤レンガ積みと、オスモ塗装による黒い板張りの家。