家と草木のアトリエhausgras

赤レンガを敷く、赤レンガを積む

赤レンガを積む敷く  赤レンガをまとう家

札幌市街や江別市街、その郊外のあちこちに残る赤レンガ造りの家や倉庫。
レンガの奥から染出てくるような、橙色〜朱色〜赤色〜小豆色の自然な発色に温もりや活力を感じ、
一個一個、少し歪んだり大きさに違いはあれど、積み上げられてひとつの建築物に成ると素朴で力強く美しい。
そんな身近にある赤レンガに深い親しみを覚え、自らの家に使いたいと思う方も少なくないことでしょう。

札幌市街地にある赤煉瓦造の瀟洒な旧個人宅。現在は店舗として再利用されています。
白く塗られた窓回りとの対比が美しい。

札幌駅近くの煉瓦造倉庫。全体に白く塗られていますが、赤レンガ積みです。

サッポロファクトリー(サッポロビールの旧札幌第一工場)の赤レンガ壁をはう蔦。

北海道大学敷地内に残る札幌農学校 第二農場の赤煉瓦平屋造の製乳所。

栗山町 小林酒造の倉庫のひとつ。赤レンガは蔦などの緑との相性もよく。

江別市の公共住宅には赤レンガが使われています。

江別市野幌「ガラス工芸館」。野幌の煉瓦工場の経営者の自宅だった建物です。

札幌市に隣接する江別市野幌(のっぽろ)では、今でも野幌で取れる土と砂で赤レンガを焼き続ける煉瓦工場がいくつかあります。
明治時代、百数十年も前から赤レンガがこの地で作られてきたのは、北海道開拓時代に欧米の建築技術を取り入れたことがきっかけですが、
野幌には赤レンガに適した鉄分を多く含む「赤色粘土(赤ボク)」とそれに混ぜる「細砂」が、どちらも多く存在しているという地域的な必然性もあります。

hausgrasでは、野幌の煉瓦工場に足を運び、直接見て選び買付けをした赤レンガを家の素材として使います。
壁に貼付けて使う、薄いレンガタイル(厚さ2センチ)は使いません。

私たちが専ら選ぶのは、積み上げたり敷き並べたりして使う、レンガ本来の厚さ(厚さ6〜7センチ)がある赤レンガ。
一個一個のレンガが自立した個体としてあり、それを積み上げてひとつの大きな構造物とすることで、
全体にレンガの重さが作用してどっしりと落ち着き、人の作為が及ばない自然な趣きが表れると思っています。

野幌の煉瓦工場で野積みされ、表面は苔むし、白樺が芽吹く程、年月が経っている赤レンガの山。
こういう姿を見ると、愛おしく感じて真っ先に使いたくなります。

おおよそ5000年も前から世界各地で作られてきたレンガ。
世界共通の素材であると同時に、それぞれの地域に深く根ざしている素材でもあると思います。
地域の土をこねて、風に乾かし、窯で焼く。
レンガの色と表情は、土の様態や焼く状況で少しずつ違いがあり、そして積まれ敷かれた後も、風雪に耐えてさらに少しずつ変化していく。
地域で生活する人々の手作りの面影げ、地域の気候風土とそこで流れる時間を静かに刻んでいくのです。

レンガのサイズは210ミリ×100ミリ×60ミリ、重さは2.5キログラムで世界中どこでもほぼ同じ。
この大きさ重さは人が手に取って積み上げ易い、ヒューマンサイズなのです。
実際に赤レンガを積み上げていく作業をしてみると、個々の安定と作業効率のバランスがとれた丁度よい大きさと重さということが分かります。

レンガ積みやレンガ敷きは単純な作業なので、体力と時間があれば誰でも出来ます。
私自身、hausgras事務所兼自宅の1階壁に赤レンガを積みました。
繋ぎのセメントモルタルを混ぜ合わせつつ、レンガを積み上げるという単純作業を黙々と続ける日々。

積み方は「イギリス積み」を選択しました。レンガを長手に並べる列と短手を並べる列を交互に積み上げていきます。
札幌や江別に遺る赤レンガの建築の多くもこのイギリス積みなので、お馴染みのパターン。強度も一番あるようです。

難しい所はプロに要領を教えてもらいながら。

赤レンガの施工は、職人に頼むと人件費が高いうえに几帳面にし過ぎてしまい味わいが出ません。
セルフビルドの方が愛着が増しますし、出来栄えに自然な味わいが醸し出されるよさもありますから、時間と体力があればやってみましょう。

玄関ポーチアプローチの土間にレンガを敷き並べる建主ご夫妻。
レンガを敷く場合は、割れてしまった小片も敢えて含めて。そうすると配列のパターンが崩れて、気楽な感じに仕上がります。

この単純な素材、単純な作業、単純な構造。
原初的であるからこそ力強く奥が深く風格がある、そして人の手づくりの温もりを感じる。

赤レンガを積むこと敷くことは、建築することの原点でもあるような気がします。

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