歩道際に高く長く積まれたレンガの山。なかなか壮観です。
同じ土を使ったとしても、焼く温度、酸化還元(酸素量)、土に微量混ぜる発色元素の違い、
敢えて焼きムラを付ける工夫、角を落とす行程などで、様々な色と表情のレンガが作られています。
何年も土場に放置された赤レンガの山に生える草。レンガは元々は土ですから、それなりに保水性や保温性があって根を張るにはよいのかも。
事前に予約をしておくと社長さんあるいは工場長さんが、要望に合うような目ぼしいレンガのある所に導いてくれます。
クラッシャーレンガが敷き詰められた土間通路を奥へ奥へ。その両脇に所狭しと積まれたレンガの数々。
時には工場内を案内してもらえます。
レンガの原料となる土。
野幌は赤レンガの原料に適した鉄分を多く含む「赤色粘土」(赤ボク)とそれに混ぜる「細砂」が、どちらも採れる希有な土地。
しかもまだまだ枯渇しないそうですから、遠慮無く、レンガを使いましょう。
この日はたまたま、レンガを焼く窯(かま)の中も見せてもらう事ができました。
見せる人も見せてもらう人も嬉しそう。
耐火煉瓦で覆われた坑道のような長い煉瓦窯。70メートルあるそうです。
この建主ご夫妻は、「ヤキスギ」といわれる濃い色の赤レンガをベースに、
それより少し明るい色をした原初タイプのレンガをほんの少し混ぜて、玄関ポーチと玄関土間に敷くことになりました。
このレンガ工場にあるのは、近年作られたレンガだけではありませんでした。
何十年も前にこの工場で焼かれ、その後、工場の壁に積まれていたレンガを、数年前に解体して取って置いた残り。
モルタルや石灰がこびり付き、色も形もマバラな、愛おしい古いレンガです。
何とその残された量が、このご家族が探していた新築の家の長いポーチアプローチの床敷き10平方メートル分とピッタリ。
これはもう運命としか思えない巡り合わせでした。
建主ご家族は即決されました。
予算は少しオーバーしましたが、それより大きな価値を得たと思います。
これはレンガ工場の事務所で見せてもらった、明治7年(1874年)に函館で製造された古いレンガ。北海道の黎明期レンガです。
今は1000℃以上の高温で焼かれる北海道のレンガ。この当時は700℃くらいで焼かれていたのではとのこと。
日干しレンガと赤レンガの中間的な質感。
脆くて風化しやすいのかもしれませんが、それが独特の味わい深さを醸し出していて、よい感じです。
「 レンガのセルフビルド 」についてのページはこちら → 赤レンガを積む敷く